のらりくらり

いつだって漂っていたい

桃色と呼ぶにはまったく程遠い 白の大群に背筋伸ばす


録画したまま放置していたやつを見ました。

白夜行 [DVD]

白夜行 [DVD]


なんか既視感、と思いながら途中から吸い込まれるように見てたんだけど、コレあれだわ、あたしドラマverつまみ食いしたんだわ。
朧げな記憶しかないけど、ドラマverはもう少し主役の二人に感情が伴っていたので、人間ドラマになっていたような。山田くんと綾瀬さんのキャラクターもあると思うけど。
その違いが一番明確に出てたのが、ラストシーンよねー。

堀北さんはすごく静かで一歩間違えたら地味になってしまうし、高良くんは目鼻立ちがハッキリしすぎなのと、輪郭がなんとなく好みじゃない印象を持っていたんだけど、映像のなかで動くふたりはひたすらに静謐で美しくて、人外の生き物みたいだった。淡々と、ひとを内側から破壊していくような犯罪に手を染めるけれど、決して交わることのないふたり。そのふたりの美しさが犯罪の冷酷さを助長している。美しさと恐怖はある意味、紙一重のところにあるよねぇ。

映画verはモノローグがない。そして、刑事さんがかつての事件を追いかける(アレどこの「Nのために」だ)形式で進んでいくから、より二人の感情に対する説明がない。たぶんあえて二人の感情を徹底的に排除しているんだとおもう。
だから客観的にストーリーを見てしまって、わたしは二人に寄り添うことができなかった。自分に寄せることももちろん、できなかった。だってそこにいる生き物は自分とは全く別の生き物だったから。
美しい、ということは、それだけで理由になる。それだけで賞賛され憧憬の念を抱かせ、排除される。

結局、この二人は過去の損失から逃れられないまま大人になってしまったのかな。
お互いに、お互いを理由にして、精神的な成長を拒んでいたのかな。それを、望んでいたのかな。
だから、最後に彼女は微笑んだのかしら。変われないままに死んでしまった彼は、そのまま永遠に時を止めたから。
たぶん、彼は変わりたかったんだとおもう。刑事さんに真実を突き止められて安心した。けれども、やっぱり裏切ることはできなかった。
変わりたいけれど、変われない。
そんなジレンマを解消するためには死ぬ他なかったんだろう なぁ。

それってどうしようもなく哀しいこと。

久しぶりに思いのまま長文を書いたもんで、やっぱり文章がまとまらない。お許しください。